手足口病、水いぼ
「手足口病」について
この夏大流行した手足口病について幼稚園はいつから行って良いかという質問を多く受けました。また保育園側からの質問も来ました。これはどうしてかというと、伝染病の登校・登園の禁止については学校保健法という法律によって決まっているわけですが、これの手足口病に関しての決まりが非常にあいまいなのです。その法律によると出席停止期間の基準は手足口病は「伝染のおそれがなくなるまで」とあります。ところがこのウイルスは主な症状がなくなった後も3~4週間は便の中にウイルスが排泄されることがあるのです。しかし、主な感染は熱が出たり、発疹が出始めたりした急性期に空気中にでたウイルスの感染によるものであり、便中からのみウイルスが排泄されている程度であれば感染力は強いものではありません。1ヶ月も出席を停止することは実際的ではないため、厳密な流行を抑えるということよりも、患者本人の症状の変化に注意するため3~4日間の休みが必要である、とすることが実際的であると考えられています。なお、小さい子はおむつの取り扱いに注意する必要があります(便にウイルスが出ているので)。
基本的には軽いタイプのウイルス感染で内服薬なども必要ありませんが、中には髄膜炎、心筋炎などの重篤な疾患になったりしますし、他の細菌を合併して熱が長くなることもあります。また、この疾患の口の中の水疱は痛みを伴い、食事や水分がとれなくなったりします。解熱し、口の痛みがなくなり、しっかり栄養がとれるまでは自宅で安静にしていることも重要です。熱が3日以上続く、水分もとれないような場合はまた病院を受診して下さい。
「水いぼ」について
水いぼとは医学的には伝染性軟屬腫といい、主にこどもがかかる皮膚のウイルス感染症です。自然に乾いてとれますが、治るまでに数ヵ月から数年と長期間かかることが多いものですが、完治すると再感染することはないといわれている良性の病気です。主な感染経路は皮膚との接触です。集団生活の中で皮膚が接触する機会は多くあり、プールからのみ感染するという根拠はありません。しかし、ほとんどの幼稚園や保育園では水いぼがあるとプールに入れません。これも学校伝染病の法律では「通常は出席停止などの必要はない」とのみあるだけです。また、ビート板や浮輪の共用は避けるように指導はしているが、プールに入ることまでは禁止していないようです。新聞記事によると文部省幼稚園課では「基本的には幼稚園と保護者の理解に基づいて対応を決めて欲しい」、厚生省保育課では「学校保健法に準じる」とのみであり、結論らしい物はありません。よく水いぼになった人にプールでうつされたといわれる方がありますが、それは何もプールが悪いというわけではなく、浮輪やシャワーなど他の接触が原因といわれています。ですから、装具やシャワーなどの接触を気をつければよいわけです。せっかくの夏のこどもの楽しみであるプールを水いぼだから入れないという間違った考えから開放できる日が来ればよいと思っています。こればかりは保育園側とみなさんの理解が大事ですね。 では水いぼはとったほうが良いかと言う質問に関してははっきりいってまだ賛否両論です。ほっておいても治るという意見もありますし、広がっていくことと他人への感染も考えるととったほうがいいという意見もあります。